■MotoGPのあゆみ
それは2001年4月 レギュレーション改変から始まった
2002年にこれまでのグランプリロードレース、WGPが新たにMotoGPとして発足し、4サイクル990ccと2サイクルの500cc混走が始まった。
そのレギュレーションが発表された1年前。
レース誌は新しい時代の幕開けを予想し、浮き立つような雰囲気があった。
当時の「サイクルサウンズ」から記事を引用してみよう。ちょっと長くなるがお許し頂きたい。
答えは日本にある
(250馬力と増える車重に対して)このような難しいフレームを作る能力を一体誰が持っているというのか。
今(参戦を狙っている)4輪のエンジンメーカーはヨーロッパにその答えを求めようとしている。しかし本誌は敢えて彼らに言いたい。まず日本に来なさい。そして83年まで鈴鹿8耐でコンストラクターがワークスを相手にどのように闘っていたのかを調べるとよい、と。81年にワイン・ガードナーがワークスよりも4秒も速い2分14秒のレコードを作ったとき、乗っていたのはどんなマシンだったのか。それはアルミの角材を使った美しいフレームだった。
その後84年から8耐は750のTT・F1の時代となり、メーカー間の戦いとなっていく。しかし1000cc時代の8耐はホンダ、カワサキにヨシムラとモリワキが挑戦し、勝った時代なのである。
言い換えれば84年からの750時代の馬力なら、ワークスのフレームでもよかった。しかしリッターバイクのモンスター時代にはフレームに対してある特殊な才能を持つ人がいれば、ワークスに勝つことができた時代なのである。
新しいGPはこのモンスターの時代を彷彿とさせる。百花繚乱、それは80年代前半の8耐そのものだった。時代はまた、コンストラクターの元に帰ってきたのかもしれない。
本誌が注目しているのがこのMORIWAKI MTM-1である。昨年「Z1」のフレームのデータを取るために,という理由で制作され、8耐などに出場した。クロモリ(クロム・モリブデン綱。溶接しやすく熱に強い。引っ張り強度が高い)パイプを使ったケージ構造。モリワキは「Z1のトルクに耐えられる強度・剛性、そして熱への耐久性をテストするため」と言って敢えてアルミではないフレームを作ったという。しかしそれだけの理由だと思っているファンはいない。(サイクルサウンズ2001年7月号)
この予想は当たった。モリワキは新しいGPの時代に照準を合わせ、胎動を始めていたのだ。そしてついに1年後の2002年10月6日,パシフィックグランプリ・もてぎのプレスルームに2枚のプレスリリースが配布された。内容は次の通りである。
1.モリワキエンジニアリングは2004年度のMotoGP参戦を目指す。2003年度中にワイルドカードで参戦の可能性を探る。
2.エンジンはRC211Vに搭載しているV5を採用。HRCより供給を受ける。
3.このエンジンを搭載してオリジナルフレームマシン「MD211VF」を製作し、現在車体開発中である。
プロジェクトはついに公開され、動き始めたのだった。
MORIWAKI MTM-1 (2000~2001)