■MotoGPのあゆみ

ついに初ポイント!第5戦カタルニアGP
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 落ち込んでいる暇はなかった。翌週にはもう第5戦カタルニアGPである。ワールドグランプリ16戦にフル参戦するということは毎回これがあるということだ。精神的にも体力的にも相当タフでなければできることではない。毎日の食事も口に合うものばかりではない。レースとは違った疲れも溜まる。その中でメカニックの一人が体調不良で倒れるというアクシデントもあった。この日はエンジンの載せ換えなどの大仕事がある。しかし「なんとか二人でやる。その代わり金曜までには体調を回復してくれ」と、残った二人は言った。なにがあっても動じないレース職人が育っていた。

 レースウィークが始まった。モリワキにはヨーロッパでもゲストが引きも切らない。八代俊二さん、青木琢磨さん、そしてなんと93年の世界チャンピオン、ケビン・シュワンツが応援に訪れてくれた。シュワンツは興味深くMD211VFを眺めた。森脇が「まだまだ遅いよ」というと「GPマシンは少しずつ速くなっていくもんだよ」と言った。そしておもむろにMDに跨ると「いいマシンだ」と褒めてくれた。

 体調不調だったメカニックも回復し、いよいよ予選が始まった。初日の予選結果は1分46秒700で22位。2日目に46秒327をマーク、順位は22位のままながら、ダンロップ勢トップを守る価値のある順位となった。

 決勝当日。この日のカタルニアサーキットには10万人の観客が詰めかけていた。そのグランドスタンドにモリワキのスタッフも圧倒される。レースは転倒やトラブルなどで各チームが脱落していく中、ピットは着実な走りを続け確実に順位を上げていく。レース終盤の22周目には14位までポジションアップし、チェッカーを受けた。
モリワキのピットは歓喜で沸き立った。MotoGP参戦を表明してから1年8カ月、参戦4戦目で念願のポイントを獲得したのだ。メカニック達の目には涙が浮かんでいた。

 その日の夕食は盛り上がった。普段めったにお酒を口にしない森脇が、このときだけは率先してビールを飲んだ。スタッフの歓喜に包まれ、夜は更けていった。